私達のキャンプ場はNPOほうれんぼうの森が「森の癒し」「村の活性化」などいくつかのテーマの実現に夢を掛けて運営されています。
いくらかの達成感はあり、キャンプ場としては比較的好評を頂いて居ると思っています。
キャンプ場は小菅川に沿って存在し、周囲を手入れの行き届いた杉ヒノキの森に接しています。場内の半分は深い谷が有って50メートルのつり橋が有り、自然な渓谷景観ですが半分は河原に近く、子供でも安全に川遊びが出来ます。環境は適度にワイルドですが危険な感じはせずに比較的子供たちを安心して遊ばせる事の出来る場として一定の評価を頂いていると思います。
施設の多くが築30年で今流行のオシャレなログハウスとは違い、昭和の雰囲気が一杯のものです。それらの建物を比較的に管理良く維持して来ました。全体的に清潔感があり、施設同士が近接していない為にゆったりとした雰囲気が有るのだと思います。
私達スタッフとしては利益追求に主眼を置かず、お客様目線で考え行動する事を大切にして来ました。特にお子様連れや初心者を大切にしています。予約サイトで比較的高い評価を頂いていると言う事はそれらの対応が少しは認められているからかも知れません。
過去数年に渡って様々な施設の改善に努めて来ました。特にトイレの改造です。子供たちは和式のトイレが苦手で3日も大便を我慢して帰宅したと言う話もあった程でした。今年度は一気にほとんど全てのトイレの改造しようと、実施中です。施設そのものは古くなってきましたので今後のケアーが必要になってきます。
場内を整備する際私たちが最も留意している事として周辺環境との調和です。
建物自体が木造で、周辺に整備された杉とヒノキの森なので自然由来の素材と色使いに拘って様々なものを配置してきました。一言でいえばストレスの無い落ちついた雰囲気を醸して行くように心がけて来た、と言う事でしょうか?
この努力は今後も絶えず怠ることなく続けて行かなくてはならないと思っています。
今までは施設内に物の面で足りないものだらけでした。楽しいキャンプを行うための基本的な物すら不足していましたが、十分とは言えないもののほぼ最低限の程度で揃える事が出来たのではないかと感じています。
最終段階として目指している事が次に述べる事に成ります。それが花による「特徴ある施設へゆっくりと変化させたい」と言う事です。
キャンプ場が人工林(杉ヒノキによる植林)に接していると申しましたが、それ以前に自然林時代の名残として以前は当たり前に有った多くの野草が生き残っていて、季節ごとに可憐で綺麗な花を咲かせていました。
今でもその幾つかが生き残っていますがどんどんと減少しています。私どもがこの施設を預かった当初、ある意味で手入れが行き届いていなかった分だけ結構多くの野草が残っていました。その後キャンプ場としては蚊・ぶよなど刺す虫の予防の意味で草刈りを行います。
この際、どの草が美しい花を咲かせるかが判らない人や現に咲いていたとしても頓着しない人に掛かると全部刈ってしまいます。担当者によっては根際から徹底的に刈ってしまいます。こうして2・3回行ってしまうともう再生しなくなります。
また近年の現象として外来植物の侵入がさらに悪い状況を加速させます。
以前から「オオバコ」等が知られていましたが近年「ごみ溜め菊」や「セイタカアワダチソウ」「姫ブタクサ」「タケニグサ」など暴力的とも言える増殖力で本来の植物群に致命的な打撃を与えてしまいます。
地中には多くの在来植物の種が残されている筈ですがそれらに日の目を見させない強力な外来植物を根絶することはここまで来ると難しいかも知れません。私共の施設だけの現象ではなくある意味日本中がそういう状況だからです。とは言え放置する事は出来ません。地道に施設内だけでも根絶したいと思っています。
辛うじて今残っている植物を増やして行くだけでもそこそこ美しい景観が再生されると思いますが、本来在った植物を探して植えて行く事をしたいと思います。それらを環境に合った状態で植えて行きたいと思います。
林辺や傾斜地などキャンパーに踏まれ難い場所に実施して行く事だけでも美しい環境が再生できると思います。
この作業に当たって留意すべき大事な点について述べたいと思います。
あくまでも自然再生で有って決して公園化ではないと言う事です。こう言う作業の実施の際、往々にして現場の草を全て除去してしまいがちです。これだと確かにこれから植える植物は活着しやすいかも知れませんが、花壇になってしまいます。在来の植物は例え美しい花が咲かなくとも多分相互扶助の大切なメンバーなのだと思います。
植えたものがそこに根付かないと言う事はそこが気に入らなかったと言う事で共存しないものを無理に居着かせようとすることは趣旨に反すると思います。気長に行って行く事で美しい花の咲く景観が再生できると思います。
今から5・60年前の日本の里の景色は大変美しかったものです。特に山里の景色は本当に美しかったものです。道路は砂利道でバスが通った後にはもうもうと砂ぼこりが舞いましたがほこりが去ったあとには静寂と美しい景観が現れたものです。
山はよく手入れが良く行き届いて居り、少し開けた所は無駄なく畑が耕されておりました。道の端は今のようにコンクリートで固められる事無く、溝が掘られていました。溝の周辺には水分と日当たりを好む植物が繁茂しており、四季折々の花が咲いています。畑と森の境目にはまた別の種類の花が咲いていました。墓は普通住居の近くに有ってお彼岸やお盆の時は勿論のこと普段もその辺りに咲いている野花が供えられていたものです。
こんな景色を今更そのまま再現できるとは思いませんが、キャンプ場内の可能な部分だけでもこのような花を再生出来れば何となく懐かしさを感じて頂けるのではないかと思うのです。
施設には構造上数か所に花壇状の部位があり、いい加減な植栽がなされて来ました。バラやダリヤを主としたものです。四季に応じて適当な1年草の植栽も行って来ましたが計画的なものではありません。
板塀やコンクリート壁や金網に沿ってバラ・クレマチス等を配置するようには行って来ました。
建物や周囲の樹木環境に調和して、より安らぎを与え且つ美しい景観となるよう計画的性を持たせたたいと思っております。